抗菌ウイルスサービスを利用する前に知っておきたい知識
抗菌と抗ウイルスの違いを知っている人は、あまり多くはありません。近年、抗菌や抗ウイルスを謳った製品も増えており、既に使っている人も多いでしょう。そこでこの記事では、抗菌と抗ウイルスについて紹介していきます。また、オフィスでの感染経路についても解説するため、抗菌と抗ウイルスの違いを知りたい人、出社する人は参考にしてください。
抗ウイルスと抗菌の違いとは?
ここでは、抗菌と抗ウイルスの違いやメリット、どのようなものに使われているかなどを解説していきます。
抗菌について
抗菌とは菌の増加を抑えることです。同時に、菌を増殖させない状態にすることでもあります。そのため菌を取り除く「除菌」や死滅させる「殺菌」のような作用は、抗菌とはいいません。「抗菌とは細菌を長時間増やさないようにすること」と、SIAA(抗菌製品技術議会)でも説明されています。
抗菌アイテムの使用では、菌が増えることを抑制できるとされているのです。そのため、抗菌された製品は清潔な状態を維持できる点がメリットといえます。抗菌加工された部分は菌が増えるのを抑えるのみなので、人や自然界に存在する常在菌を殺してしまう心配はありません。抗菌加工製品は日用品だけでなく、住宅資材などあらゆる製品に使われています。その代表的なものは以下の通りです。
・日用品:まな板、スポンジ、ラップ、洗面器などのバス用品、革製品、ブラシなど
・家電製品:冷蔵庫、洗濯機、エアコン、空気清浄機、スマートフォンなど
・住宅建材:壁紙、便座、浴槽、洗面台、塗料、断熱材、外壁材、など
ほかにもペット製品や介護用品などにも使用され、抗菌された製品は私たちの生活に深く関わっていることがわかります。
抗ウイルスについて
抗ウイルスとは、ウイルスが持っている感染力を減少させることです。これをウイルスの不活化といいます。不活化するには、身近なものとしてアルコールや次亜塩素酸ナトリウムが効果的だといわれているのです。しかし、「抗ウイルス加工されているのでウイルスは発生しないから問題ない。」ということではありません。
加工された部分が汚れていたり、衛生的でなかったりすると、抗ウイルスの効果を得ることはできません。常に清潔な状態を保つように心がけましょう。抗ウイルス加工された製品は抗菌加工製品と同様、日用品をはじめ幅広いところで使用されています。また、多くの人が集まる場所や公共の施設などでも使われているようです。
日用品、住宅建材以外なら下記が挙げられます。
・エレベーター、駅、公園、公共施設、商業施設、輸送機器など
オフィスで考えられる感染経路
次に、オフィスでの感染について考えてみましょう。オフィスでの主な感染経路は4つです。
飛沫感染
厚生労働省では飛沫感染を下記のように説明しています。「感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の方がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染します。」
咳、くしゃみに限らず、近距離や密になる場所での会話でも唾液が飛び交っているため、飛沫感染を引き起こしてしまうのです。オフィスでの飛沫感染が生じる主な原因は、
・密室での長時間の会議や、周囲と充分な距離がとれない
・対面で座って仕事する
などが挙げられます。ほかには通路や給湯室、昼食時の会話なども飛沫感染を引き起こす可能性があるでしょう。飛沫感染を対策するには、以下の方法が効果的です。
・マスク着用
・うがい手洗いの徹底
・充分な距離が取れるよう座席のレイアウトを変更する
・対面は避けて横並びで2m以上空けて座る(席を間引く)
・アクリルパネルの設置
・テレワークを徹底し、社内在籍率を減らす
接触感染
オフィスで考えられる感染経路のひとつに、接触感染があります。ウイルスが付着した手で周囲の物に触れると、そこにウイルスが付着するのです。他人が知らずにウイルスが付着した箇所を触り、その手で口、目や鼻を触ると、粘膜から感染してしまいます。オフィスには、複数の人間が触る箇所が多くあるのです。
たとえば、パソコン、デスク、コピー機、ドアノブ、書類、キャビネットや引き出し、トイレなどが挙げられます。共有スペースや共有で使うものには、ウイルスが付着している可能性が高いといえるでしょう。接触感染を対策するには、以下の方法がおすすめです。
・マスク着用、うがい手洗いの徹底
・オフィス内の消毒
・不特定多数の物に触らない、触った後は手洗いやアルコールで消毒
空気感染(飛沫核感染)
オフィスでの感染経路のひとつに、空気感染があります。感染者の咳やくしゃみ、唾液などの水分が乾いてウイルスだけになったものを飛沫核と呼ぶのです。この飛沫核を吸い込むことで感染することを、空気感染といいます。換気していない密室などで感染することが多いでしょう。空気感染の対策は、マスクの着用と換気を頻繁にすることです。
エアロゾル感染
オフィスでの感染経路として、エアロゾル感染があります。しかし、エアロゾル感染には明確な定義がありません。くしゃみや咳などで飛散する飛散核のことをエアゾルと表しているようです。非常に軽い粒子のため、10mも移動できるといわれています。エアロゾル感染の対策としては、換気を頻繁に行うことです。
抗菌と抗ウイルスの違い、オフィスでの感染経路について解説しました。仕事の都合上、オフィスで働く必要がある人もいるでしょう。しかしオフィスの身近なところに感染源はあるため、抗菌や抗ウイルス製品などをうまく活用して、感染症を防止するよう努めてください。